えとぶんでえすいーのブログ

したっぱシステムエンジニアが日々気づいたことを絵と文で書く(SE色薄め)

超絶難解映画『メメント』を観てよくわからなかったけどもう一度観る気はしないあなたへ

こんばんはたまリモです。

 

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メメント』という映画を観ました。

メメント』は2000年に公開されたアメリカ映画で、『ダークナイト』や『インセプション』で有名なクリストファー・ノーランの監督作品です(いまWikipediaで見た)。

 

メメント』は超絶難解映画

この『メメント』がですね、とってもおもしろいんですけど、とっっっっっっても難しいんですよ。難しいっていうのは「コンセンサスをとって」「パラダイムシフトにより」「イノベーションオーソライズしてファビュラス(※意味は適当です)」みたいな話ではなく、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『それでも町は廻っている』みたいな時系列ぐちゃぐちゃ系なんです(※例に偏りがあってすみません)。

巧妙に伏線が張ってあって、結末に「そうだったのか!」と驚きがあり、いや〜おもしろかった〜と思った、のですが……どうも消化不良な感じが否めませんでした。時系列がぐちゃぐちゃなことはわかったんですけど、それが本当はどういう順番で、どのように伏線があって回収されて、っていうのがよくわからなかったのです。折角よく作り込まれたいい映画のように思うのに、それを十分味わえてない気がして、観てる最中からずっと「あ〜、これ観終わったらネットで解説サイト読も」と考えていました。

それで解説サイトをいくつか回ったのですが、そのサイトの記載が難しいのか私の頭が悪いのか(間違いなく後者)、イマイチ理解しきれなかったので、自分で図解して整理することにしました。同じ思いを抱いてネットサーフィンをしていたあなたにこの記事を読んでほしい。もう一度観直したらわかるのかもしれないけど、そこまでしたくないんですよね?わかります。私があなたの替わりに何度も観直しました。エクセルで時系列と伏線を整理して図にまとめました。もう大丈夫。あなたの頭が悪いのではないのです、この映画が難しいのです。ええ。

 

以下、『メメント』のネタバレしかしていないので、未視聴の方でいずれ観たいと思っている方は読み飛ばすか、酒をしこたま飲んで記憶を飛ばす勢いで読んでください。未視聴でも、そんな難しい難しいってどんな構造の映画だよ、って気になる方は読み進めてください。そして実際に作品を観て混乱を分かち合いましょう。

 

メメントを図解してわかりやすく整理しました

メメントは主人公の男「レナード」の視点で物語が進みます。以下Wikipediaからあらすじ抜粋。

ある日、自宅に押し入った何者かに妻を強姦され殺害された主人公・レナードは現場にいた犯人の1人を射殺するが、犯人の仲間に突き飛ばされ、その外傷で記憶が10分間しか保たない前向性健忘になってしまう。

復讐のために犯人探しを始めたレナードは、覚えておくべきことをメモすることによって自身のハンデを克服し、目的を果たそうとする。出会った人物や訪れた場所はポラロイドカメラで撮影し、写真にはメモを書き添え、重要なことは自身に刺青として彫り込む。しかし、それでもなお目まぐるしく変化する周囲の環境には対応し切れず、困惑して疑心暗鬼にかられていく。

果たして本当に信用できる人物は誰なのか。真実は一体何なのか。

という話です。おもしろそうですか?

この映画をできごとの順番、時系列でまとめるとこんな内容です。

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メメント』はこの一連の出来事を映画にしているのです。これだけ読むとわけがわからない上におもしろくなさそうですね。すみません。内容はともかく、これだけ場面転換があると考えてください。

さて、こっから時系列をぐちゃぐちゃにしてきます。

上図の場面3〜13がありますね。まず、これらの順番を逆にします。

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つまり、時系列としては3→4→5→…というのを13→12→11…と並べ替えているんですね。こんなことしないでよわかりにくい!!と思うかもしれませんが、この並べ替えにより、映画を観ている側も主人公:レナードの「記憶が保てず不安な気持ち」が共感できるようになっています。レナードは10分間しか記憶が保てないため、「今」の情報を未来の自分につなぐことができません。15分後に誰かと待ち合わせ、ということも忘れてしまうのですから、それはもう暮らしにくいわけです。その対策としてレナードは、写真を撮ったりメモに残したり、大事なことは自らの体に刺青を残したりして、未来の自分に「こう動け」という命令を残しています。例えばこの映画は場面13「テディを殺す」ところから始まりますが、これも「テディ」を撮った写真に「こいつが犯人だ。殺せ」とメモがあったゆえの行動です。観ている私としては突然人が良さそう(に見える)おじさんが殺されるわけで「えっなんで!?」と思うわけですよ。それを場面12→11、と過去を遡っていくことで、「ああ、こういうことがあったからかあ」と理解していくのです。

「今」の自分の行動の理由がよくわからないまま「過去」の自分の命令に従って動く、そんなレナードの不安な気持ちを、視聴者側も味わえるわけですね。いや〜わかりにくい!(褒めてます)

 

ぐちゃぐちゃ具合はこれで終わりではありません。次は場面2を観てください。『電話にでる。記憶の保てない男「サミー」の話をする』というシーンですね。この『記憶の保てない男「サミー」の話をする』部分を8つに分割し(2a〜2h)、場面1とあわせて先ほどの場面3〜13の間へ順番に挟み込みます。

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この右側!

これが映画『メメント』なんですよ!!

難しすぎる!!!

しかしそこがいい!!!!!

※ちなみに色を青と黒で分けているのは、黒:モノクロのシーン、青:カラーのシーン、となっているからです。最後の混ざっているところはモノクロだったのが途中でだんだんとカラーに変わっていくようになっています。

 

私は映画に詳しくはない上に、脳に障害を負っていない(ハズ…)にも関わらず、観た映画を片っぱしから忘れてしまう性質ですが、こういう構造はおもしろくっていい映画だなあと思いました。ただ単に「おもしろみ」で時系列をぐちゃぐちゃにしているのではなく、きちんと目的(恐らく主人公への感情移入)を持って「あえて」視聴者を混乱に招いていることが素晴らしい。こんなに何度も巻き戻したり一時停止したりして観た映画は初めてです。そしてやっと『メメント』のおもしろさが9割方わかった気がします。またひとつ賢くなりました。ありがとう『メメント』!

 

ネタバレとは書きましたが、ここに書いた内容を頭に入れて観ても十分に楽しめる映画です(肝となるところは省略しています)。是非観てみてくださいね。そしてまたこの記事を読んで「あ〜こうなってたのか〜」と分かち合えたら嬉しいです。

 

ちなみに▲の話をまとめたのがコレ▼

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う〜ん、ややこしい!

おしまい。