えとぶんでえすいーのブログ

したっぱシステムエンジニアが日々気づいたことを絵と文で書く(SE色薄め)

気胸になった日(入院!編)

前回までのあらすじ

「心臓が痛い」と半ば脅して仕事を早退したが医者には「よくわからんけどそういうことある」とざっくりした診断をされ何か病名がないとかっこつかないと焦った著者は2ちゃんねるスレッドから「気胸」という肺の病気にたどり着き確実な診断もとい早退した大義名分をもらうべく病院に行くことにした。

 

前回の記事

tamarimo.hatenadiary.jp

 

2.再診!

正しい診断を受けるべく、あらためて病院に行くことにしました。今度は循環器科狙い撃ちです。会社の上司には「今日は専門の先生がいなかったみたいで、明日また来るように言われました」と実にそれっぽい理由をつけて翌日も休むと連絡。

翌朝。時間通り会社に行かなくていいってなんてすがすがしいんだろう、これだけで病気も治りそう……とつい考えてしまうけれど、今日という日を心置き無く休むために病院へ。待合室はそれなりに混み合っていましたが、待つこと約10分、診察室へ。

ここで肝に命じていたのは、決して自分から「気胸だと思うんですけど」と言わないことです。ネットで仕入れてきたニワカ知識(それも2ちゃん)で自己診断してくるやつほど厄介な患者はいないでしょう(たぶん)。お医者様のご機嫌を損ねないように細心の注意を払って問診を受けます。担当は40手前と思われる若い男性医師でした。

「胸が痛いんですよ(気胸気胸気胸…)←心の声」

「なるほどねぇ、風邪引いてるとかある?」

「引いてないです~(気胸気胸気胸気胸!)←心の声」

「そうかぁ~」

「横になるとポコポコ音が聞こえるんです(ほら、気胸気胸気胸気胸気胸!!)」

「う~ん、じゃあま、レントゲン撮ってみようか」

「ハイ!」

病人とは思えないいい返事をする私。気胸であればレントゲン写真に縮んだ肺が写るはず……やや勝負師の顔でレントゲン室に入ります。パシャリと撮り終わり、待合室で結果を待っていると、先ほどの医師がパタパタと小走りで現れ、

「たまリモさん!気胸気胸だよ!」

無罪を勝ち取ったかのようなテンションで告げました。私も苦難の末に無実を勝ち取ったような気持ちになり「でしょう!」と言いたい気持ちを抑え

「えっ気胸?」

と、まるで初めてその病名を聞いたかのように驚きました。

「そう、気胸!聞いたことない?矢部っちとかかかったの」

「そうなんですか!」

これ進研ゼミでやったところだ!ばりにネットで調べた情報が出てきます。しかし既に気胸のことを知っていると悟られてはならず、純粋に驚くことは忘れません。

「じゃあ入院だね!今日から!」

「え」

3.入院!

こうして入院することになりました。かなり巨大な大義名分を得てしまいました。

不謹慎に思われるかもしれませんが、私は「若いうちに一度は入院しておきたい」と考えていました。というのも、例えば自分が数十年後、老婆になって初めて体調を崩し入院するとなったとして、それは自宅→病院の片道切符の可能性が高いのではないでしょうか?先に退院が待っている入院とそうでない入院は心持ちが全く違うと思っていて、数十年後の老婆の自分にそんな悲しい初めてを体験させるくらいなら、今、大した病気でなくても入院するという経験をしておきたいと思っていたのです。

4泊5日の入院生活。脇の下?まあ肺の横あたりからチューブを差込み、縮んでしまった肺を膨らますのです。常に脇からチューブで繋がっている(点滴のようにガラガラと持ち歩きも可能)のは不便ではありましたが、特に痛むでもなく、それよりもずっと寝っ放しなので腰痛が辛かった記憶があります。常に「イイ感じ」の姿勢を探していました。

病室は4人部屋の通路側。カーテンで区切られています。私以外全員おばあさん。初めての入院生活で困ったことはいくつかありましたが、やはり相部屋ならではのものが多いですね。隣りのおばあさんは夜中もずっとテレビが付けっ放しで、音は聞こえないんですが光がチカチカするから気になって(日中ゴロゴロしているだけで疲れていないのもあり)寝れないんですよ。一度「どうせ見てないんじゃないの?」と思い、自分のところのテレビのリモコンをカーテンの隙間に差し込み電源を切ってやることを試みましたが無理でした。うつ伏せに寝ました。

あと他所の話はわりと筒抜なんですよね。相部屋の誰かのところにお見舞いが来ておしゃべりしているのをなんとなく聞いていたりするのですが、やれあの子は見舞いに来るだの来やしない等の愚痴も耳に入ったりして、自分の未来の姿を思って心が痛むものです。皆さん億劫かと思いますがお見舞いには定期的に行ってください。

私の方にも一度兄がお見舞いに来てくれたのですが、ちょうど私が入院したのはクリスマスの頃だったので、簡易なクリスマスツリーとコンビニのケーキを買ってきてくれました。ベッドのテーブルにツリーを飾り付け、コンビニのスプーン(なぜかフォークではない)でケーキをもくもくと食べたのをよく覚えています。なんかわびしい気持ちもあったのですが、ありがたかったですね。美談ですかねこれ。

 

4.退院!しかし

そんなこんなで、無事5日間の入院を終え、退院しました。それから1ヶ月後に再発してまた入院したり、2ヶ月後に再発して入院したりしたのですが、もう辛気臭いので詳細は割愛します。そう、気胸って再発しまくる病気なんですよ!一度穴が空いたところはちょっとのきっかけでまたパカッと空いてしまうようなのです。ちなみに1回目の再発は母の誕生日ケーキを買ってテンションが上がって小走りになった瞬間のことでした。穴が空いた感じって自分でもわかるんですよね〜。このときは咳が止まらなくなって、寝るときも辛かったです。

再発再発ときたので、最終的には穴の空きやすくなったところを除去する手術をしました。内視鏡の手術だったので開腹はなかったのですが、これが猛烈痛かったです。手術中はもちろん麻酔が効いているので痛みはないのですが、やっぱり体に穴を空けると痛いんですね!術後(といっても半日くらい)は痛みで悶絶していました。「数時間後には麻酔が効きますよ」なんて言われても「え、この痛みが数時間も続くの……?」とかなり絶望しましたね。自分が病気を苦に自殺する人の気持ちが少しだけわかりました。

 

5.結論!

やっぱり健康が一番ですね!病気になることがいかにコストであるか、最後の手術の精算をしたときに痛感しました。気胸は原因不明なので気をつけようがないのですが、もう二度とあんな思いはしたくないものです。こればっかりは天に祈るしかないですね。

 

(おわり)

 

余談

前回書いた通り、数年前は「胸が痛いなんて今までになかったことだ!なにか異常があるはず!」と思い気胸が発覚したわけですが、いまは肺のあたりに違和感を覚えたり心臓付近がチクチクしたりすることがわりと日常的に発生するので、次は気づける気がしません。どうしよう。