えとぶんでえすいーのブログ

したっぱシステムエンジニアが日々気づいたことを絵と文で書く(SE色薄め)

実家が都内にあるけど都内で一人暮らし始めた話

こんばんはたまリモです。

実家が都内にあるけど都内で一人暮らし始めた話をします。今回は絵を描くような箇所がないので文章のみとなっております。

一人暮らしを始めて数年が経ちました。社会人になって2年目くらいに、自分の収支から一人暮らしできる見通しが立てられたので始めました。
一人暮らしを始めるにあたって、いろんな人に「なんで一人暮らし始めるの?実家でいいじゃん」と言われたものです。地方から上京してきた方々には特に。確かに私の実家は23区某所にあり、渋谷や新宿に出るにも30分かからないという好立地にあるんですよね。特別親が一人暮らしを推奨しているわけでもなく、進学や就職で止むを得ず家を出た方から見たらお金をドブに捨てているように見えてもしょうがないと思います。

ただ、私はむしろ「実家を出る予定がない」ことに危機感を感じていたのです。

実家はとっても便利なところにあり、職場にも近い。転勤もまずない。結婚の予定もない。

では、いつ実家を出ることになるのか。

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3X年後、3月某日。満開の桜。寺。両親の葬儀を無事終えた私(60)。日に日に弱っていく親の介護を続けるのは辛かったが、それもとうとう終わり。幼少の頃から長く住んでいた実家も老朽化と遺産の分配のため取り壊すことになっている。結婚はついにしなかった。本当に一人になったのだ。

住むところを探さなければならない。不動産屋をのぞく。春から社会人になるらしい女のコが、母親と物件を探しているようだ。間取り図を見比べながら、ここがいい、悪いと話している。「収納が少ない」「独立洗面台がほしい」「バストイレ別じゃなきゃヤダ」と欲張る娘。それを「そんな贅沢ばっかり言ってもしょうがないでしょ、予算を考えて」と諌めながらも「女のコの一人暮らしでしょう、やっぱりオートロックじゃないと……」とこぼす母親。

私(60)はと言えば、誰が心配するでもない。だいたいの地域と家賃の上限だけ伝えて、あとは不動産屋の兄ちゃんに勧められるがまま、適当に部屋を決めた。結局自分一人寝るだけの部屋である。

60にして初めての一人暮らし。これからは自分のために生きればいい。そう言えば随分と自由に聞こえるが、自分から望んでこの暮らしになったわけではない。単に他に選べる選択肢がなかったのでこうなっただけだ。

越してきた日の夜。家具のひとつもない部屋に佇む私(60)。これが自由と言うならば、なんて胸が高鳴らないんだろう。

やることもないので風呂に入ってさっさと寝ることにする。明日も仕事だ。

一人なのでお湯を張るのももったいない。シャワーでいいや。服を脱いで風呂場に入り、勢いよく蛇口をひねる。

……3月も終わりの頃とは言え、まだ肌寒い。早くお湯が出ないかな。

お湯……お湯……あれまだ水だ……マンションってあったまるの遅いんだな……

お湯……お湯……まだ水か……

お湯……

まだかな……

……お湯……

……

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ってなる頃でしょうね、きっと。こうなったらかわいそうすぎると思いませんか、私(60)が。自分で書いてて辛い。ガス屋さんに立ち会ってもらわないとガスは通らないんだよと教えてあげたい、すっぽんぽんでシャワーから永遠に出ないお湯を待つ私(60)に。

そう考えると居てもたってもいられなくなり、一人暮らしを始めることにしたのです。

20代の今なら親も元気だから、介護もまだ必要ないですよね。そりゃ寂しがるかもしれないけれど、兄はまだ実家にいるみたいだし、そう気にすることもないでしょう。どうせ口は出してくるだろうから、この際、物件選びやら家具選びやら引越し作業やらも手伝ってもらうことにして……

とまあ、要するに選択肢があるうちに前向きな気持ちで一人暮らしを始めてみたかったんですね。色々思う所があっての一人暮らしですが、これが一番の理由だと思います。

こういう風に考えて一人暮らしてる人間もいるわけですから、実家が都内なのに一人暮らしをしている若者を見かけても「お金がもったいない!!」等と言わず、温かく見守ってもらえたらと思います。あといい人がいたら紹介してあげるといいと思います。人助けは大事だと思います。

 

実家が都内にある人間が都内で一人暮らしを始めようとしたら親に大反対されたけどなんとかした話もあるのですが、こちらはまたいずれ。